電子ビーム溶接と各種溶接方法との比較
各種溶接と電子ビーム溶接との比較
[抵抗溶接]・[超音波溶接]
一般的に用途が限られている。
[TIG溶接]
汎用性に優れるが量産性、精度に劣る
[LB溶接]
大気中で溶接が可能で量産性、精度に優れるが薄物メイン。
[EB溶接]
真空中で溶接のため汎用性は劣るが、溶接性能は最も優れている。
電子ビーム 溶接 |
レーザー 溶接 |
TIG溶接 |
抵抗溶接 |
超音波溶接 |
|
溶接速度 | ○ |
○ |
× |
○ |
× |
低熱入力 | ○ |
○ |
× |
○ |
○ |
低熱歪み | ○ |
○ |
× |
− |
○ |
溶接ビード外観 | ○ |
○ |
× |
− |
○ |
固定治具が簡単 | ○ |
○ |
× |
− |
− |
装置の信頼度 | ○ |
○ |
○ |
○ |
− |
大気中での溶接 | × |
○ |
− |
○ |
− |
真空中での溶接 | ○ |
× |
× |
× |
× |
磁性材料での溶接 | × |
○ |
○ |
○ |
○ |
高反射率材料の溶接 | ○ |
× |
○ |
○ |
○ |
熱感受性の高い材料の溶接 | ○ |
○ |
× |
× |
○ |
作業環境・騒音・異臭 | ○ |
○ |
× |
× |
× |
肉厚の部品溶接 | ○ |
× |
○ |
× |
× |
狭い小・深溝・深穴溶接 | ○ |
× |
× |
× |
× |
各種溶接のビード幅と溶け込み深さ
EB溶接、LB溶接は他の溶接に比べ、出力密度が非常に高い。このため、熱が溶接部の周りに伝播する前に一瞬で溶融することができます。これによって、熱歪みの原因となる溶融部(doの幅)を最小限に抑えることができ、高精度の溶接が可能となっています。
また、EB溶接はLB溶接に比べ有効熱源径(do)に対する出力密度の分布が平均的であるため、出力密度のピーク高さは同程度であるが、より深い溶融を可能としている。
※虫眼鏡は焦点を合わせれば紙が焼けるが、焦点がずれると紙は一向に焼けない。LBはこれと同様に光を集光して熱エネルギーとしているため、光が集中する点において高い出力密度を示すが、焦点からずれた位置では出力が大きく下がってしまう。
各種溶接熱源の出力密度分布およびビート形状の様式図